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ブレイクスルーの瞬間

2009.08.08-14.23.04

「あ、こいつなにか変わった」という瞬間に、立ち会ったなーいま、わたし。
ということが過去に一度あった。

美術科の学生時代のこと。
その人の作風が、何か、どこか、変わったな、って思った瞬間。劇的な変化ではなかった。だけど、なんか違う。全然違う。そう思わせる変化があった。微妙にぶれていたものがいよいよばちーんと合わさったというか、目線が定まったというか。そういうかんじ。

元々下手だったわけではなかったんだけど、それまでは、その力の放出の加減というか方向というか、その出し具合が生っぽかった。それが正しいところに向かって適切に、なった。パワーが減ったというのではなく、静かな光というか、何かそういうものに置き換わったような。

それを見て、うわあ、と思った。

やればできないこともないがめったにやらない子だった私には、それがまぶしくて、そして脅威で、自分がなんだかいたたまれなくなって、うまい言葉も見つからないまま、思った通りをコメント用のノートに書きなぐって逃げるように帰った。

そのあとしばらくへこんだような記憶があります。



その後。

めったにやらなかった子が全力投球した卒業制作展間際、そのことがあったからなのかどうかは分からないけど、「あいつら、ホントやる気なくてやんなるよな」みたいなことをぼそっと言われ、“熱投”の興奮冷めやらぬ私はそれを「分かちあってる」者への言葉と解釈し、ああ、多少なりともこの人は私のことを認めてくれていたんだなと思ってちょっと救われた。



特に親しいということもなく、それくらいの思い出しかない彼なんだけれど、ググってみたら今も作家として活動しているようで、なによりです。
私の方も、ほそぼそ8年、続いてます。

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