世界で最もどす黒く苦い言葉を飲み込んだ。
よくやった。よくやったよ、おれ。
突如理不尽な話を聞かされきゅうきゅうに困窮。ふんふんに憤怒。
そんな気持ちはぐっとこらえて、あくまで優しく、丁寧に、順序立てて、分かりやすく、笑顔まじりに私の意見を表明したのだが、届かない。
精根尽き果て、「では例えば、こうしてこうすると、ああしてああなって、でまたこの話に戻ってくる訳でしょう?それでは結局同じことの繰り返しだから、もうこの話はお互い折れて終わりにしようではないか」と言えば、「まあ、それはいいんだけど、」って聞いてない。よかねえよ。全然よくない!ていうか聞けこの叫びを。そっち戻んな!
なんというかもうハナから私の話を聞く気などないのだ。決定事項の報告にすぎないのだやつにとっての“話”というのは。いやいやいや。キャッチボールをしようぜ会話のよ!
なんだかやり手の営業マンよりもたちが悪い。
気づくと漫画のように頭を抱えていた。
そんなうちの母です。
どこの母もそんなものなのか?
「じゃあ、しょうがないから、ちょっと考えといて」って、だからもう丁重にお断りしたはずでしょっ!はーなーしーきーけーっ!!!
母とは即ち宇宙。
真っ黒な空へ吸い込まれたかに見えたボールは、見上げた私の口から入って胃を直撃。うぐぐ。
町田康にそんな話がなかったか。
指先からしたたる黒い汁を食わせたら首が吹っ飛ぶだろうか?吹っ飛んでもしゃべり続ける気がしたので考えるのをやめた。
ああ、本気で、胃が痛くなってきた・・・なんか、もう、泣きそう。朝なのに。ああ。