ルーベンスつながりということで、私が生まれて初めて観に行った展覧会で、生まれて初めて絵画の素晴らしさに感動したのがピーテル・パウル・ルーベンス「四大陸」です。上野の国立西洋美術館で開催された「西洋の美術展」、幼稚園か小学校低学年の頃のことです。
実際に「四大陸」だったのかどうかは今となっては定かではありませんが、その時買ってもらって後生大事に持っている絵ハガキが「四大陸」と「キリストの割礼」なので、おそらく間違いないでしょう。この2作は印象が結構違うんですが、広く知られているルーベンスのイメージは「四大陸」のタッチじゃないかと思います。
呼び物であるモネ「睡蓮」シリーズが壁のたっかいところに数点飾ってあって、それはまあ確かにきれいだったんだけど、さほどの感動はなく、それよりもルーベンスの描き出すやわらかくて今にも動き出しそうに血の通った人物群(おそらく神々ではありますが)、この素晴らしさに目と心を奪われたのでした。アニメ『フランダースの犬』で絵描きを志すネロもルーベンスが大好きで、「そうだよね、ネロ!いいよね、ルーベンス!」と当時激しく共感した覚えがあります。
人物というのも子供の私にとっては風景よりも興味を引く対象だったろうし、そういう原体験もあってか、いまだに観るのも描くのも人物画が好きです。
ルーベンスには宗教画やギリシャ(ローマ?)神話を題材にとった群衆画が多く、そのどれをとってもそうですが、とにかくデッサンが崩れない。だから自分がすうっとその空間に入り込める。絵の中に。だから好きです。
この「人物デッサン正しい系」「神々しい系」絵画の系譜としては、フェルメール、デューラー、ホルベイン、なんかもたいへん好きです。フランツ・ハルスの描く市井の人々というのもまた素晴らしいです。ミケランジェロ、ダ・ヴィンチも。挙げればきりがありません。それから神々しさとは対照的ですが、ジェリコーにも眼光鋭いばあさんを描いたダークな絵があって、素晴らしいんです(狂人シリーズとして他にもいくつか肖像画を描いています)。
ちなみにネロが最期に見たのは「キリスト昇架」「キリスト降架」の2枚だそうですよ。
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