予想に反して「ザ・アメリカン青春ムービー」だった!
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『ソーシャル・ネットワーク』 2010年 アメリカ
http://www.socialnetwork-movie.jp
原題:The Social Network
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、
ジャスティン・ティンバーレイク、ブレンダ・ソング
なにっ!製作総指揮ケヴィン・スペイシーなのか!なるほど!
これ、実話に基づいたフィクションだそうです(一応おことわり)。
主人公のマーク・ザッカーバーグは確かにやなヤツで、友達にはなりたくないタイプなんだけど、根っこのところは実はそんなに最悪ではないんだよね、ラスト・シーンでも分かるけど。自分の感情を一切口にしないがゆえに、「こいつなりに悩んでんだろうなー」ってちゃんと思わせる。
マークはいわゆる“童貞こじらせ系”ってやつなんだよな多分。(デキるのに)モテない俺の、(俺に比べりゃ大したことないのに)モテるヤツらに対する蔑み×憧れ。それがすべてのパワーになってるんだなー。何だろう、マークってホリエもんから金をひいた感じ?(態度としてはひろゆきか?)金の代わりに「イケてる俺」を求めた、「ナード/ギーク nerd/geek」による「ジョック jock」アコガレ映画。そういう意味ではウィル・スミスの映画『最後の恋のはじめ方 – Hitch』と構造的には同じ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(チキンvsマッチョ)も大体同じだし、アメリカって何十年経っても変わってないんだなー(笑)
裏切り、裏切り、って言われてるから、もっとどろどろとした陰謀と策略とっていうのを想像してたんだけど、そうじゃない。裏切ろう、蹴落とそう、っていうよりは、みんなその時の感情やら思いつきで「やっちゃえ、やっちまえ、やってやる」っていうノリ。それら全てがうまく運んじゃって、なおかつ一瞬にして“成功”が目に見えるもんだから・・・っていう。会話のスピード感で「ザ・インターネット社会」ってものをうまく象徴させてる。
こういうノリやスピード感とか「ネット社会」なんて言われると、漠然と危うい、危険なものと思う人もいるだろうけど、でもこういうところから今の新しいサービス、メディア、文化は生まれてるわけで、実はもう多くの人がこれに取り込まれて生活してる。コンビニ然り、ケータイ然り。特に30歳前後から下の世代はもうどっぷり浸かってる。よく考えれば自分の会社や仕事だって結構こんなペースで進んでるよなーっていう(多少は理性のはたらく“大人”がいるかどうかって違いだけ)。IT云々の訳の分かんない人達だけで勝手に盛り上がってる話ではないってことが分かる。ただ単に、これまで見えなかったものが可視化され、そこにちょっとスピードが加わっただけの事。
そういうものを描きつつも、登場人物たちは、かっこよく見られたいし、既成の価値観にはとりあえず反発しておきたいし、その一方では相手にされないということを何より恐れたり、強いものに頼ろうとしたり、突然嫌になって放り出したりする、やっぱりみんな古き良き時代から何一つ変わらない“小僧っ子”。ITの、エリートの、成功者の、って話ならいくらでもダークなうさんくさいもの、あるいは輝かしいサクセス・ストーリーとして描けたはずだけど、(時にボンクラな)若者たちの葛藤ストーリーに落とし込んだところはうまいなーと。俺らが手にした“成功”って、なんか思ってたのと違った・・・ほろ苦いな、みたいな。だからって絶望してるんじゃなく、ちゃんと前を向いている(ボート部のイケメン兄弟もがんばるしな・笑)。あ、エリカちゃんだけは最初からオトナだな。
でも個人的には、世紀の大傑作ってほどではなくね?とは思います(多分アメリカ人と日本人では受ける印象が大分違うんだと思いますし)。『ハート・ロッカー』に比べたら小さい小さい。
もちろん青春ムービーとしては大傑作間違いナシ!「あんた見てると俺は強いんだって思えるよ」ってエドゥアルドの捨て台詞、あれサイコー!
最後、エリカちゃんのfacebookページをひたすらリロードし続けるとこ、かわいいよな。成功してもなお童貞をこじらせ続けるマークに幸あれ(笑)
トレント・レズナーはよかったね。