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映画『グラディエーター』と『ロック・ユー!』の共通点。

発見して目から鱗だったのでメモ。
映画の感想文です。ネタバレ全開です。

グラディエーター [DVD]

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

2003-12-19 発売

時間:



リドリー・スコット監督の映画『グラディエーター (原題:Gladiator)』のラストで、闘技場から担ぎ出されるマキシマス。黄金に輝く小麦畑を仰向けのマキシマスが運ばれて行く。移動してるんだけども台車がない。なぜか宙に浮いたまま、すうっとすべっていくマキシマス。
初めは「なんだこれ!?」と思った。映画冒頭からずーっと「現実押し」(それも、これでもか!と言わんばかりの“超過酷な”現実)の映像で来たのに、突如投げ込まれるファンタジックな世界(天国・楽園のイメージ)。一瞬とまどう。

とはいえ、このシーンの美しさは圧巻であるし、先立ったはずの妻がすぐそこで微笑んでいるというカットからも、おそらくはマキシマスがその最期の瞬間に観て感じたであろうものを映像化したってことなんだろうな、と納得する。

死が現実に喉元くらいまで迫ったとき、痛みや恐怖やそういったものを通り越して(というかそれらはもう存在すらしていない)、妻に再び会える喜びや、すべて終わったのだ、これで解放されるのだというマキシマスの感慨(家族を失った孤独、自らの人生、大きく言えばコンモドゥスの支配からの解放など)、さらに、輝かしいものとして迎えられた(迎えるべき)最期を描くことによる、監督のマキシマスの人生への賞讃が表現されているということかなと。

しばらく考えてそこに落ち着いた。


ロック・ユー! アルティメット・コレクション [DVD]

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

2006-06-21 発売

時間:



で、だいぶ経ってから、ブライアン・ヘルゲランド監督の映画『ロック・ユー! (原題:A Knight’s Tale)』のDVDコメンタリーを観た。
この中で、この映画を作るにあたってリドリー・スコットのチームが協力してくれて大変感謝している、というような監督本人のコメントがある。そこでピンと来た。
『ロック・ユー!』のラスト、落馬したアダマーの「何が起きたんだ!?」という表情を上から覗き込むアングル。この時アダマーがわずかに宙に浮いている。「Welcome to the new world」と決め台詞を残して誇らしげに去って行くウィリアムとその仲間たち。そして、フラッシュバック—槍を構え、何よりの誇りである自らの名前を叫びながら向かってくるウィリアム、その槍を受け倒れこむアダマーというシーンが、アダマー目線のスローで。
この宙に浮いてる感じとスローモーション、どっかで観た!ああ!『グラディエーター』と同じ!なるほど!

製作年は、
2000年 『グラディエーター』
2001年 『ロック・ユー!』
となるので、ブライアン・ヘルゲランドによるリドリー・スコット・トリビュートってことなのね。ほーぅ。


宙に浮いていることが示すのはどちらもマキシマス、アダマーの想像の世界だからってことなんだけど、マキシマスが見たのは彼の死〜死後の世界で、アダマーが見ているのは自らの敗北や挫折を暗示したある意味現実を示唆している。逆にこのエンディングまでは『グラディエーター』の方がリアル、『ロック・ユー!』の方がファンタジーで来ている、そこがエンディングでねじれる。最後の最後でファンタジーに行かなかったところが『ロック・ユー!』の世界観というところでしょう(というか『ロック・ユー!』はもともとが時代物の現代語解釈という映画でもあるわけで)。
そういえば、捕まったマキシマス(ウィリアム)が、牢屋でコンモドゥス(アダマー)と話すシーンなど、他にもいくつか共通点があったりするなあ。ほほぅ。

これってある意味リメイクとも言えるのではないでしょうか?
でも、いわゆるリメイクではなく、一旦壊して新たに再構築、というかんじ。
例えば、スパコン分解してAIBO作っちゃいました、みたいな。(違うか)
「時代劇のリメイク」って意味もあるかもね。それが『ロック・ユー!』。

時代劇の正統派『グラディエーター』と、その現代語解釈『ロック・ユー!』という視点で比べてみると結構面白いです。そう来たかブライアン!的な発見が随所にあります。敵役の描かれ方とか(おぞましいコンモドゥスとどこか憎めないアダマー)、主人公のエンディングの迎え方とか、ひょっとしてジュバがチョーサーなのか?、とか。

一番大きな違いは、『グラディエーター』があくまで「孤高の戦士マキシマス」を描いているのに対して、『ロック・ユー!』は「ウィリアムとその仲間達」という描き方をしているところでしょうかね。マキシマスはその背景も含めて「個」もしくは「孤」で、もちろん仲間もいるけどそれは部下、配下の者になる。けどウィリアムたちはみな対等。エドワード黒太子ですら槍試合においては対等。

ま、そんなの関係なくどっちも面白いんだけどね!
リドリーさんもうまいけど、ブライアンさんもやるやる。

どちらも
・時代は大きく違うけれど歴史もの
・運命を変えよう(A man can change his stars)ともがき、闘う男(とその仲間)
・感動できる(感動の種類は違うけど)
映画です。

もすすめです。

アカデミー賞受賞作である『グラディエーター』はいうまでもないですが、この『ロック・ユー!』もなかなかの佳作です。主演のヒース・レジャーはもちろん、“仲間たち”の芸の細かい演技が見ていて飽きません。中でもチョーサー役のポール・ベタニー(キス・キス・バン・バン、ダヴィンチ・コードなどにも出演)が素晴らしすぎます。音楽のチョイスも最高!日本での売りは再結成したQueenの「We Will Rock You」でしたしね。

最後まで見ると、原題の『A Knight’s Tale』というのに深く共感できますよ。そうそう、ある“騎士”の物語なんだって。確かに作り手としてはもうこのタイトルしかないだろうな。そこいくと邦題なー。ぜんぜん伝わらないものなー。曲だけかいっ!てかんじがしちゃう。まあ確かに古い慣習に対してRockしてるやつらの話ではありますが。もうちょっとなにか、ねえ・・・。

映画『ロック・ユー!』オフィシャル・サイト:
http://www.sonypictures.jp/arc……e/rockyou/

トレーラー:
YouTube Preview Image

チョーサーの名口上(流れるような名調子。必見):

そう、ポール・ベタニーの登場シーンはまじ全裸です。
しかも全裸は1度だけじゃない!(笑)

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